張本智和、丹羽孝希、水谷隼:オリンピック史上最も強く、個性豊かな東京五輪・卓球男子日本代表

文: 照井雄太

開幕まで100日を切ったTokyo2020(東京五輪)。卓球は7月24日から8月6日まで、東京体育館にて開催される。日本男子は張本智和(木下グループ)、丹羽孝希(スヴェンソン)、水谷隼(木下グループ)の3名が代表となっており、メダル獲得が期待されている。出場種目は下記の通りとなる。

  • 男子団体:張本智和、丹羽孝希、水谷隼
  • 男子シングルス:張本智和、丹羽孝希
  • 混合ダブルス:水谷隼(伊藤美誠とのペア)

張本智和、世界が認める日本のエース

国内外の最年少記録を塗り替え続けている、世界が認める卓球界の怪物である。オリンピックは東京五輪が初出場。国際大会でも度々、中国選手に勝利した実績があり、王者・中国が最も警戒する選手の1人である。シングルスでは、十分にメダルを狙える位置にあり、また、団体戦では日本のエースとしての活躍が期待される。

団体戦の試合方式は1試合目ダブルス、2~5試合目がシングルスで行われ、3試合先取で勝敗が決まる。張本には常にシングルスで2勝することが求められ、張本の活躍次第で、日本のメダル獲得可能性が大きく変わると言っても過言ではない。

プレースタイルは世界トップレベルの高速バックハンドが武器。卓球台の近い位置から、ライジングを捉えて打つバックハンドは、中国選手でも反応が遅れ、ノータッチで抜けてしまうほどの威力がある。

そして張本と言えば試合中のガッツポーズ。得点ごとに大きな声を出し、自らを鼓舞すればするほど、プレーの調子も上がってくるのだ。直近、3月に行われた国際大会の「WTTスターコンテンダードーハ大会(カタール)」でも優勝を果たし、Tokyo2020東京五輪に向けて、視界は良好だ。

唯一の懸念点は若さからの経験不足。五輪という特別な舞台、初出場で実力をしっかり出せるのか。メダル獲得には、実力以上に爆発力のあるプレーも必要となってくる。世界選手権初出場時の鮮烈なデビューを思い出し、初出場ということをプラスに変え、思い切り吠えまくることが出来れば、おのずと結果はついてくるはずだ。

■プロフィール

  • 2003年6月27日(17歳)宮城県出身
  • 世界ランキング:4位(2021年4月14日時点)

※過去最高位:3位

■主な戦績

  • 2017年世界選手権:ベスト8(13歳)
  • 2018年ワールドツアーグランドファイナル:優勝(15歳)
  • 2018年ワールドカップ団体:銀メダル
  • 2019年ワールドカップシングルス:銀メダル
  • 2018年全日本卓球選手権シングルス:優勝(14歳)
  • 2019年全日本卓球選手権ダブルス:優勝

丹羽孝希、電光石火の切れ味を見せるクールな天才

2017年・2019年世界選手権シングルスでベスト8。日本選手では、大舞台で最も安定した成績を残している。経験も実績も申し分なく、自国開催の東京五輪では団体戦と、初のシングルスのメダル獲得が期待される。

プレースタイルは独創的で、世界中でも丹羽以外出来ないと言われている。身長は162cmと小柄なため、卓球台に近づいて、両ハンドでの高速プレーが基本。特に、相手の攻撃に対してのカウンタープレーが得意で、相手のエースボールを読み切ってのカウンターはまさに電光石火の速さ。また、カウンターだけでなく、相手の攻撃に対し、強烈な回転をかけて返球する、カットブロックというトリッキーな技術も時折使用する。

高速プレーからのカウンターや、たまに見せるトリッキーなプレーで会場を沸かせても表情を全く変えず、張本とは正反対のクールな選手。東京五輪で丹羽がメダルを獲得するには、メンタルはクールに、プレーはアグレッシブに攻める必要がある。2012年ロンドン五輪アジア予選で、現・世界王者の馬龍(中国)を破り、五輪への切符を掴んだ時のように、床に倒れ込んで喜びを爆発させる丹羽を東京五輪で見てみたい。

■プロフィール

  • 1994年10月10日(26歳)北海道出身
  • 世界ランキング:17位(2021年4月14日時点)

※過去最高位:5位

■主な成績

  • 2012年ロンドン五輪出場(17歳)
  • 2016年リオデジャネイロ五輪団体戦:銀メダル、シングルス:ベスト8
  • 2016年世界選手権団体:銀メダル、12・14年団体:銅メダル
  • 2015・17年世界選手権ダブルス:銅メダル
  • 2018年ワールドカップ男子団体:銀メダル、2011・13年団体:銅メダル
  • 2012・14年ワールドツアーグランドファイナルダブルス:銀メダル
  • 2013年全日本選手権シングルス:優勝
  • 2011・13・17年全日本選手権ダブルス:優勝

日本のレジェンド、水谷隼

幼少期から日本卓球界の歴史を塗り替え続け、全日本選手権で史上最多10回優勝。現役ながらにして日本のレジェンドである。日本男子が世界トップクラスとなったのは、水谷の成長とともにあったと言って間違いない。14歳でドイツへ卓球留学。その後、中国、ロシアのプロリーグへ。自ら厳しい環境に飛び込み、世界トップの選手へと成長した。

多彩なサーブからのフォアドライブでの攻撃が武器。また、前陣から後陣までコート全体を使って粘り強くプレーできる。特に後陣からのロビングで相手の攻撃を何本も返すプレーは芸術的で、観客を大いに沸かせる。技術力の高さ、戦術の多さから常に安定したプレーができ、取りこぼして負けることがほとんどない選手だ。

東京五輪では初採用となる、混合ダブルスでのメダル獲得が期待されている。ペアは女子のエース伊藤美誠。ともに静岡県磐田市生まれで、所属時期は違うが、同じクラブ(豊田町スポーツ少年団)の出身。11歳年上の水谷が、変幻自在と言われる伊藤のプレーを引き出し、2人の実力を発揮すればメダル獲得の可能性は十分。卓球では金メダルの可能性が最も高い種目である。

前回のリオデジャネイロ五輪後は両選手のメダル獲得を祝い、磐田市でパレードが行われた。東京五輪後は2人で獲得した金メダルを首から下げ、磐田へ凱旋してもらいたい。

■プロフィール

  • 1989年6月9日(31歳)静岡県出身
  • 世界ランキング:18位(2021年4月14日時点)

※過去最高位:4位

■主な成績

  • 2008年北京五輪出場(19歳)
  • 2012年ロンドン五輪出場
  • 2016年リオ五輪団体戦:銀メダル、シングルス:銅メダル
  • 2016年世界選手権男子団体:銀メダル、2008・10・12・14年男子団体:銅メダル
  • 2009・13年世界選手権男子ダブルス:銅メダル
  • 2013年ワールドカップ団体:銅メダル
  • 2010・14年ワールドツアーグランドファイナルシングルス:金メダル、2018年シングルス:銅メダル
  • 2019年ワールドツアーグランドファイナル混合ダブルス:銀メダル
  • 全日本選手権シングルス:優勝10回
  • 全日本選手権ダブルス:優勝7回