写真: 2019 Getty Images

国際大会覇者が一堂に会する「2021世界柔道選手権」:東京五輪日本代表内定選手のライバルたちに注目

文: マンティー・チダ

2021世界柔道選手権ブダペスト大会が、6月6日から13日に行われる。Tokyo2020(東京五輪)の前哨戦の位置づけとなる今大会。東京オリンピック日本代表内定選手は出場しないが、本番でライバルとなる選手たちが多数登場する。今回は男女各1階級の有力選手をピックアップする。

◆男子81kg級は国際大会覇者が多数出場

男子は81kg級に国際大会覇者が勢ぞろいする。リオデジャネイロ五輪では、東京五輪日本代表に内定している永瀬貴規が銅メダルを獲得している階級。あれから5年が経過し、新興勢力も含めて激戦の階級へと変化した。

2019世界選手権覇者のサギ・ムキ(イスラエル)は出場しないが、ワールドマスターズ2019優勝のマティアス・カッス(ベルギー)、ワールドマスターズ2021優勝のタト・グリガラシビリ(ジョージア)が出場予定。さらに、2019世界選手権銅メダリストのアントワーヌ・ヴァロア=フォルティエ(カナダ)、2018世界選手権金メダリストのサイード・モラエイ(イラン)、リオデジャネイロ五輪金メダリストのハサン・ハルムルザエフ(ロシア)など、豪華メンバーが揃う。

第1シードに入ったカッスは、左右の一本背負いや片襟の背負い投げをどんどん仕掛ける選手。技の威力も強力で、寝技への移行も早いが、ここ数試合は足技で敗れている。豪快さが持ち味の反面、奇襲にどう対処するのかも注目したい。

第2シードのグリガラシビリは、2020年のグランドスラム・デュッセルドルフ大会で、永瀬やハルムルザエフといったリオデジャネイロ五輪メダリストを下している。その後ワールドマスターズ2021を制したが、5月のグランドスラム・カザン大会では優勝したサミ・シュシ(ベルギー)に裏投げで敗れている。昨年9月の「欧州選手権」から連勝していただけに、今回の世界選手権で対戦機会があれば、シュシを倒しておきたいところだ。

主要大会を制したメダル候補の選手たちが登場し、誰が優勝してもおかしくない階級。永瀬が東京五輪で顔を合わせると思われる選手たちをここでチェックしておくのも良いだろう。

◆女子48kg級は渡名喜風南のライバル、クラスニキとウランツェツェグが直接対決か

女子は48kg級が注目だ。東京五輪日本代表内定選手の渡名喜風南は出場しないが、渡名喜のライバルとなる選手たちが揃って参戦する。そのうちの1人が、第1シードのディストリア・クラスニキ(コソボ)。この階級で今一番安定した成績を残している。2020欧州選手権こそ3位に終わったが、ワールドマスターズ2019、ワールドマスターズ2021、2021欧州選手権で優勝を飾っている。

2021欧州選手権では、2019世界選手権金メダルのダリア・ビロディドを下した。渡名喜とはワールドマスターズ2021決勝で顔を合わせており、その時は合わせ技1本で渡名喜に勝利。階級屈指のパワーファイターで、奥襟を持ち、相手をひきつけて豪快な内股や大外刈りから相手を投げ飛ばす。右からの技には要注意である。

もう1人が第2シードのムンフバット・ウランツェツェグ(モンゴル)。2017世界選手権決勝では、渡名喜と対戦し敗れている。2013世界選手権金メダルの実績を持つウランツェツェグは「寝技のスペシャリスト」と呼ばれる。今年に入って、ワールドマスターズ2021では3位に終わったものの、準々決勝ではビロディドに隅落としで勝利した。その後のグランドスラムでは、出場2大会で連続優勝を果たしており好調をキープしている。渡名喜との過去における対戦成績では分が悪いものの、調子を上げて臨む2021世界選手権でどのようなパフォーマンスを見せてくれるのかに注目だ。

その他では、今年のグランドスラム・テルアビブ大会決勝で、ビロディドに足車で勝利しているシリーヌ・ブクリ(フランス)に注目だ。昨シーズンに大躍進を果たして、クラスニキにも大外刈りで切り落とすなど成長著しい21歳。怖いもの知らずで世界選手権を制することになれば、渡名喜にとっても厄介な相手になってくるだろう。

東京本番で渡名喜のライバルとなるであろう選手たちが、世界選手権で熱い火花を散らすことになるのだろう。