スノーボード
スノーボードは、1998年に長野で開催された冬季オリンピックで初めて採用された、冬季オリンピック種目の中で最も新しい競技のひとつ。これまでに6回しか開催されていないにもかかわらず、スノーボードは冬季オリンピックの人気競技に成長した。
北京2022のスノーボード競技は11種目で、その中には、冬季ユースオリンピックに続いて冬季オリンピックデビューとなるスノーボードクロス混合団体も含まれている。**北京2022**のスノーボード競技について、競技の歴史、注目選手、会場情報など、知っておくべき5つのことを紹介しよう。
北京2022スノーボードのトップ選手
冬季オリンピックのスノーボードにはさまざまな種目があり、各種目で独自の技術が求められるため、複数種目でメダルを獲得する選手はほとんどいない。実際、平昌2018で複数のメダルを獲得した選手は1人。ジェイミー・アンダーソン（米国）が女子スロープスタイルで金メダル、ビッグエアで銀メダルに輝いた。アンダーソンは女子スロープスタイル2連覇中で、Xゲームでは史上最多のメダル（17個）を獲得した女子選手。北京2022での活躍が期待される。
2021年の世界選手権で優勝したシャーロット・バンクス（英国）がスノーボードクロスのオリンピックのディフェンディングチャンピオンで、世界選手権2位の**ミケラ・モイオリ**（イタリア）がライバルになるだろう。
他にも、北京でスターになる可能性のある選手として、2018年冬季オリンピックで歴史を作った**エステル・レデツカ（チェコ）とクロエ・キム**（米国）が挙げられる。
レデツカは、アルペンスキーのスーパーG（スーパー大回転）とスノーボードのパラレル・ジャイアントスラロームで金メダルを獲得し、2種類の用具（スキーとスノーボード）を使って同一冬季オリンピックで2つの金メダルを獲得した初の選手となった。
キムは、弱冠17歳の若さでスノーボード女子ハーフパイプで金メダルに輝き、オリンピックで金メダルを獲得した史上最年少のスノーボーダー。また、ハーフパイプの世界選手権、オリンピック、Xゲームのチャンピオンであり、これら3つの主要大会とユースオリンピックでタイトルを獲得した初の選手でもある。
男子では、スノーボードのオリンピック金メダル最多記録（3個）を持つハーフパイプの**ショーン・ホワイト（米国）が、平昌2018、バンクーバー2010、トリノ2006に続く歴史的な4個目のメダルを狙うべく、5回目の冬季オリンピック出場を目指す。平昌2018とソチ2014のハーフパイプで銀メダルを獲得した平野歩夢（日本）や、3度の世界チャンピオンで平昌2018の銅メダリストであるスコッティ・ジェームズ（オーストラリア）が対抗馬となるだろう。さらに、2021年の世界選手権で金メダルを獲得した戸塚優斗**（日本）も控えている。
スノーボードクロスは、2度のオリンピックチャンピオンに輝いた**ピエール・ボーティエ（フランス）の引退により、2010年以来となる新たな金メダリストが誕生する。2021年の世界選手権で金メダルを獲得したルーカス・エギバル**（スペイン）が優勝候補の筆頭に挙げられている。
他にも、平昌2018でのスロープスタイル金メダリストのレッド・ジェラード（米国）、平昌2018ビッグエア金メダリストの**セバスティアン・トゥータン（カナダ）、2度のオリンピックメダリストで5度の世界チャンピオン（2009年、2011年、2021年のパラレルスラローム世界選手権優勝、11年、13年のパラレル・ジャイアントスラローム世界選手権優勝）であるベンジャミン・カール**（オーストリア）など、男子の注目選手は多い。
北京2022スノーボード日程
**スノーボード競技**は、**2022年2月5日（土）〜15日（火）**の日程で行われる。
北京2022スノーボード会場
スノーボードは、張家口にあるゲンティンスノーパークで行われる。張家口では他にもフリースタイルスキー、クロスカントリースキー、ノルディック複合、スキージャンプ、バイアスロンなどの競技が行われる。
ビッグエアは、首鋼パークにあるビッグエア首鋼集団で行われる。この会場は、世界初の常設ビッグエア施設で、大会終了後は一般の人々がレクリエーション目的で使用する予定。
北京2022スノーボード競技フォーマット
北京2022のスノーボード競技は、新種目であるスノーボードクロス混合団体を含む11種目が行われる。
男子&女子
- パラレル・ジャイアントスラローム
- スノーボードクロス
- ハーフパイプ
- スロープスタイル
- ビッグエア
スノーボードクロス混合団体
ハーフパイプ、スロープスタイル、ビッグエアの各競技は、審査員がトリックの難易度、ランの完成度、技術の高さ、ジャンプの着地などを評価し、各選手のランを採点する。スノーボードクロス、パラレル・ジャイアントスラローム、スノーボードクロス混合団体の各種目は、すべてレースとなる（先にゴールした方が勝ち）。
北京2022のスノーボード競技には、合計230の出場枠、8つの開催国枠がある。
オリンピック競技としての歴史
スノーボードは、1960年代の米国で新しい冬の楽しみを求めて生まれたスポーツと言われている。1968年、ミシガン州の技術者であるシャーマン・ポッペンが、2本のスキー板をくっつけて片方の端にロープを付け、子供たちが滑って降りられるようにしたのが始まりとされている。
ポッペンはこの装置を「スナーファー」と名付け、メーカーにライセンスを供与した。その結果、1966年だけで50万個以上の製品を販売することができた。
1970年代後半、スノーボーダーは伝統的なスキーリゾートでも滑り始めたが、“自分たちの” 山から排除しようとするスキーヤーの反発を受けた。しかし、1990年代に入ると、ほとんどのスキー場がスノーボードを受け入れるようになり、スキー場はスノーボードを新たな収益源として活用するようになった。
1982年、米国で初めてスノーボードの国内選手権が開催され、1年後には初めての世界選手権が開催された。その7年後には国際スノーボード連盟（ISF）が設立され、1994年には国際スキー連盟（FIS）がスノーボードをFISの競技として採用し、1998年の長野大会でスノーボードが冬季オリンピックデビューする道筋をつけた。長野1998ではジャイアントスラロームとハーフパイプが実施された。2006年のトリノ大会でスノーボードクロスがデビューし、2014年にはスロープスタイルとパラレルスラロームが加わった。2018年の平昌大会ではビッグエアがデビューし、2022年の北京大会ではスノーボードクロス混合団体が加わる。
米国は冬季オリンピックのスノーボード競技で最も成功を収めている国で、31個のメダルを獲得しており、ライバルのスイス（13個）をはるかに上回っている。最も成功している選手は金メダル3つのショーン・ホワイト（米国）で、同胞のジェイミー・アンダーソンは金メダル2つと銀メダル1つで、ホワイトの背中を追っている。