伊藤美誠:母と歩んできた卓球人生。一日6時間の猛練習が数々の「史上最年少記録更新」を生み出す【アスリートの原点】

平野美宇との「みうみま」ペアとしても大活躍
文: オリンピックチャンネル編集部
2014年、平野美宇(奥)とのペアでワールドツアーのドイツ、スペインオープンで連続優勝。ワールドツアー女子ダブルスの最年少優勝でギネス認定を受けた 

伊藤美誠(みま)は、10歳にして全日本卓球選手権で初勝利を収めて以来、「天才少女」として数々の大会で最年少記録を塗り替えてきた。その華麗な経歴の裏には、幼いころからの猛練習を続ける日々がある。リオデジャネイロ五輪で銅メダル(女子団体)を獲得し、東京五輪で2大会連続の表彰台をめざす彼女のルーツに迫る。

平野美宇(左)と挑んだ2014年6月のワールドツアー韓国オープンの女子ダブルスは悔しい準優勝に終わった

母は卓球経験者で、2歳の時に初めてラケットを握る

「天才少女」を超え、中国メディアから「大魔王」とも呼ばれる伊藤は、2000年10月21日に静岡県磐田市で誕生した。

父と母はともに卓球経験者だった。特に母の美乃り(みのり)さんは中学1年の時に卓球を始め、高校時代には全国高等学校総合体育大会(インターハイ)に出場した実力の持ち主。日本体育協会認定の上級指導員、公認コーチの資格のほか、整体師の免許を取得しており、現在もマッサージや健康管理の面で娘を徹底サポートしている。

美誠が競技に出合ったのは、まだ2歳のころ。5歳の時には、男子のエースとして知られる水谷隼の父、信雄さんが代表を務める豊田町卓球スポーツ少年団に入り、指導を受けるようになった。「いつかこの子は中国人選手に勝てるかもしれない」。母の指導にも熱がこもる。1日6時間以上の猛練習を小学校卒業まで、毎日休まずに続けた。

二人三脚のストイックなトレーニングのかいもあり、2008年には全日本卓球選手権で小学2年生以下を対象とするバンビの部、2010年には小学4年生以下が対象のカブの部で優勝を果たす。そしてその翌年の2011年には10歳2カ月ながら、一般の部で初勝利。大会前まで福原愛の持っていた大会最年少勝利記録を塗り替えた。

2016年のリオデジャネイロ五輪に出場。オリンピック卓球競技史上最年少の15歳でメダリストになった

10代前半で、シングルスとダブルスの両種目で頂点に

中学生になると、実家を離れて大阪府の高校まで一貫教育を行う昇陽中学校に進み、当時の日本代表監督だった村上恭和氏が設立した「関西卓球アカデミー」で卓球に向き合った。さらに技術を磨くと、2013年には、現在、最大のライバルであり親友でもある、同じく2000年生まれの平野美宇とダブルスを組んで、全日本選手権で最年少勝利を収める。ITTF(国際卓球連盟)ワールドツアー2014のドイツオープン女子ダブルスでは優勝。ワールドツアー(プロツアー含む1996年以降)最年少優勝ペアとなった。こうして「みうみま」ペアは国民的スターへと成長していく。

個人戦でも破竹の勢いを見せる。ITTFワールドツアー2015ドイツOP女子シングルスで優勝。14歳152日でのツアー制覇は、前年のダブルス最年少優勝とともにギネス記録にも認定された。記録づくめの華麗な経歴を持つ一流アスリートだが、インスタグラムやツイッターを通して、私服を含めおしゃれを楽しむ現在の若者らしい一面を見せている点も魅力だ。

2016年のリオデジャネイロ五輪で卓球競技におけるオリンピック最年少メダリストとなった重圧は、決して小さくない。しかし今度の舞台は東京だ。メディアに対して「3種目すべてでメダル獲得をめざす」と言い切った。地元の声援を大きな力に変え、「卓球王国」中国の高い壁を打ち破る。

選手プロフィール

  • 伊藤美誠(いとう・みま)
  • 卓球選手
  • 生年月日:2000年10月21日
  • 出身地:静岡県磐田市
  • 血液型:O型
  • 身長/体重:152センチ/45キロ
  • 出身校:昇陽中(大阪)→作陽高(岡山)
  • 所属:スターツSC
  • オリンピックの経験:リオデジャネイロ五輪(女子団体銅メダル)
  • ツイッター:伊藤 美誠 Mima Ito(@MSLpN5xiejmc2Ho)
  • インスタグラム:Mima Ito 伊藤美誠(@mima_ito)

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