写真: Ryan Pierse

ソフィア・アカチエワはロシアのフィギュアスケート界に現れた新たなスーパースターか?

文: Rory Jiwani/訳:角谷剛

13歳の少女が歴史を作った。カザンで行われたフィギュアスケートのロシア杯ジュニア女子部門のフリープログラムで2本の4回転ジャンプと3回転アクセルに成功したのだ。

11月12日、カザンで行われたフィギュアスケートのロシア杯において、ソフィア・アカチエワが衝撃的なフリー演技を披露し、ジュニア部門を制すると同時に、ロシアのフィギュアスケート界に新たなスーパースターが出現したことを印象づけた。

エテリ・トゥトベリーゼに師事する13歳の少女は2本のきれいな4回転トウループを成功させた。2本とも両腕を頭の上に上げたアダム・リッポンのスタイルだった。アカチエワはさらに3回転アクセルも成功させ、勝利を確実にした。

以前アリサ・リウが1本の4回転ジャンプと3回転アクセルを成功させたことはあるが、1つのプログラム内で複数の4回転ジャンプと3回転アクセルを成功させたのは女子では史上初のことだ。

アカチエワが獲得した151.32点は前日のシニア部門競技においてアカチエワの元トレーニング・パートナーでヨーロッパ・チャンピオンのアリョーナ・コストルナヤが挙げたスコアより高い。アカチエワの総合得点は231.44点で、このスコアもコストルナヤを上回った。

同じくトゥトベリーゼ門下の元チームメイトで世界ジュニアチャンピオンに2回輝いたアレクサンドラ・トゥルソワはフリープログラムで驚異的な171.21点をたたき出し、コストルナヤを抑えてシニア部門での勝利を飾った。

アカチエワは紛れもなくトップ選手の仲間入りを果たしたが、2007年7月生まれの彼女は年齢制限のため2022年北京冬季オリンピックの出場資格は得られない。

アカチエワのカザンにおける歴史的パフォーマンス

2年前、トゥトベリーゼの「3A」と呼ばれたアリョーナ・コストルナヤ(Alena Kostornaia)、アレクサンドラ・トゥルソワ(Alexandra Trusova)、そしてアンナ・シェルバコワ(Anna Shcherbakova)の3人はジュニア部門で競技しながらもシニア部門を上回るスコアを挙げていた。

彼女らはシニア部門に移ってからも順調にランクを伸ばし、昨年はコストルナヤがトリノで行われたグランプリ・ファイナルを制するまで、6つのグランプリ・イベントの優勝を彼女たちで独占した。

トゥルソワとシェルバコワの4回転ジャンプ、そしてコストルナヤの3回転アクセルは、年上のライバルたちに大きな差をつけたのだ。

もう1人の4回転ジャンプをこなす若いスターにはカミラ・ワリエワがいて、トゥトベリーゼ一門にジュニア・グランプリ・ファイナルで6回連続の優勝をもたらしている。

後に世界選手権を2連覇するエフゲニア・メドベージェワの快進撃は2014年に始まり、ポリーナ・ツルスカヤ、2018年平昌オリンピック金メダリストのアリーナ・ザギトワ、トゥルソワ、コストルナヤがそれに続いている。

今シーズンのジュニア・グランプリは新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になった。だが、アカチエワは未来のチャンピオンを見据えているし、来年3月に中国ハルビン市で行われるジュニア世界選手権では前年度優勝のワリエワが最も警戒するライバルになるだろう。

カザンでアカチエワはフリープログラムをきれいな4回転トウループと2回転トウループの連続技で滑り出し、次にもう1回の4回転トウループを成功させた。

次いで少し不安定だった3回転アクセルと3回転トウループを着地した後、3回転ルッツで転倒してしまった。スタミナにはまだ少し不安が残るようだが、それでもプログラムの中で3回転オイラーから3回転サルコウと3回転ルッツから2回転トウループの連続技を着地させ、観衆の度肝を抜いた。

ショートプログラムでは4回転ジャンプは許されていない。アカチエワは3回転アクセルから3回転フリップの連続技を成功させ、80.12点のスコアを獲得した。これはシニア部門でもトップになるスコアだ。

これはアカチエワにとって、9月にシズラニで行われたステージ1に続く、ロシア杯での2度目の優勝となった。

そしてアカチエワの後には12歳の新星ヴェロニカ・ジリーナが控えている。ジリーナは4回転トウループから2回転トウループの連続技を成功させ、2位に入賞した。

検疫期間で見えてきたもの

2週間前、アカチエワはロシアのタス通信のインタビューに応じ、新型コロナウイルス感染拡大による検疫のため、2か月半もの間「振り付けと体力トレーニングに専念していた」と語っている。

だが、アカチエワがノヴォゴルスクで行われたロシア代表チームの合宿に参加したときに契機が訪れた。その合宿には、ディナ・アヴェリーナとアリーナ・アヴェリーナ姉妹も含むロシア新体操のトップ選手たちも参加していた。

「物事が段々と形になっていきました。すべてのことが上手くいくようになったのです。コーチングスタッフにはとても感謝しています。ひとりでいるときは勉強をしていました。家庭教師がついているのです。私はダンスが大好きです。私は音楽にすぐ反応します」とアカチエワは言った。

このインタビューの段階でアカチエワは2本の4回転トウループと3回転アクセルを1つのフリープログラム内で成功させたいと語っている。それをカザンで実現させてみたわけだ。

そうなると、このロシアの新星スケーターに残されたものは何だろうか?

「私は4回転サルコウにも挑みたいと思っています。すでに練習はしています。今シーズンの終わりまでには競技で成功させたいと思っています」

2019年3月、当時11歳だったアカチエワは練習中に4回転ジャンプを成功させて、トップニュースになった。

アカチエワは幼い頃にフィギュアスケートを始め、すぐにモスクワのフルスタリン・リンクで強力なトゥトベリーゼ一門に入った。

「私の家族全員はフィギュアスケートが大好きなのです! 私たちは競技会のテレビ中継はすべて見ます。初めてオリンピックのスケート競技をテレビで見せてくれたのは母でした」

「私はその頃選手の名前を誰も知りませんでした。とても幼かったのです。だけど私はテレビに釘付けになりました。私もこの素晴らしい世界の一員になりたいと思いました。そしてもちろん、バンクーバー・オリンピックは見ました。浅田真央や他の女子選手たちです」

アカチエワは浅田や現在や過去のトレーニング・パートナーたちに感銘を受けた。そして彼女自身が今シーズンと将来においてもっとも注目される存在のひとりになった。

原文:Is Sofya Akatyeva Russia's next figure skating superstar?