アメリカ生まれのカイラ・コンディは、東京2020のアメリカ代表に選ばれた4人のクライマーの一人だ。しかし、出場権を獲得するまでの道のりは、厳しいものだった。
コンディは、ハイハイができるようになるとすぐにクライミングを始めた。ある時はベビーベッドから出るため、またある時は冷蔵庫をよじ上るため、彼女はクライミングに取り憑かれた。
しかし13歳になったとき、彼女は人生を変える決断を迫られた。重度の特発性側弯症のため、背中の手術が必要になったのだ。ある外科医は「病気に比べれば、クライミングはそれほど重要ではない」と彼女に言ったが、コンディは自分の意志を貫くため、クライミングを続けることに希望を持たせてくれる別の外科医を探した。
手術が成功すると、彼女は再びクライミングについて考えることができるようになった。ただ、脊椎の癒着により体を捻ることが困難なため、コンディは壁を登る際には自分の力に頼らなくてはならなかった。
数多くの競技に参戦した努力は、2018年のパンアメリカンゲームで実を結び、そこでコンディは初めて金メダルを獲得した。また、2019年に開催された全米クライミング・コンバインド・インビテーションでも金メダルを獲得。さらに同年の世界選手権で25位に入賞したことが、オリンピック出場への可能性をひらいた。そして手術から10年後、カイラ・コンディはチームUSAの一員として、オリンピック出場権を獲得した。
ミネソタ出身のクライマーは、スポーツ選手としてのキャリアだけでは飽き足らず、アスリートとして、またUSAクライミングの役員として、自分がそれまで切り拓いてきたプラットフォームを利用して、さらに多くのことをしたいと考えている。
彼女の望みは、この競技がより多くの人を受け入れるようになることだ。そして、そのための努力を彼女は惜しまない。
「アスリートはスポーツに専念すべきで、政治などに関わるべきではないと言われるのは、本当に悔しい」と彼女は『タイム』誌に語っている。
スポーツクライミングが初登場する東京2020に向けて準備している彼女は、後悔は残したくないと考えている。
「20年後に振り返って、「ああ、もっとやっておけばよかった」なんてことにはなりたくないから」。
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